【英語・英文学・英文科】Fスコット・フィッツジェラルド、The Great Gatsby(グレート・ギャツビー)の解説、和訳①
出版当初、この小説は意外にも不評でした。1922年の禁酒法時代のレトロなニューヨークの匂いが漂ってくる作品なので、同時代の人からすると古臭く感じたのかもしれません。分かりにくいところは注釈多めでいこうと思います。それでは読んでみましょう。
Then wear the gold hat, if that will move her;
さあ、金色の帽子をかぶれ、彼女の心が動くなら。
If you can bounce high, bounce for her too,
高く跳べるなら、彼女のために跳べ。※bounce 飛び上がる
Till she cry ‘Lover, gold-hatted, high-bouncing lover, I must have you!’
彼女がこう叫ぶまで。「金色の帽子を被った高く飛び跳ねる恋人よ。あなたは私のものよ!」
—THOMAS PARKE D’INVILLIERS
※トーマス・パーク・ダンヴィリエ
※フィッツジェラルドのデビュー作『楽園のこちら側』の登場人物、またはフィッツジェラルドのペンネーム
Chapter 1
In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I’ve been turning over in my mind ever since.
今より幼く傷つきやすかった頃、父があるアドバイスを私にくれた。それ以来、私はその言葉を頭の中で繰り返し続けている。
‘Whenever you feel like criticizing any one,’ he told me, ‘just remember that all the people in this world haven’t had the advantages that you’ve had.’
「誰かを批難したくなったときには、こう覚えておきなさい。この世の全ての人間が君ほどは恵まれている人間ではないと。」
He didn’t say any more but we’ve always been unusually communicative in a reserved way, and I understood that he meant a great deal more than that.
父はそれ以上のことは言わなかったが、父と私はいつも、控えめなやりとりでも人並み以上に心が通じる仲であった。父は言外に遥かに多くの意味をその言葉に込めているのだと分かった。
※communicativeは現代では「話し好きな」「伝達の」という意味。
※great deal「多くの量、たくさん」
In consequence I’m inclined to reserve all judgments, a habit that has opened up many curious natures to me and also made me the victim of not a few veteran bores.
その結果、私はあらゆる判断を留保しがちになった。この習慣のせいで、多くの詮索好きな人のターゲットになった。退屈でつまらないヤツから被害を受けたりもした。
※curiousには「奇妙な」という意味もあるのでダブルミーニング
考察:この頃のアメリカは今よりも歴史が浅い分、現代のマッチョな感じが無いです。1922年と言えばアメフトリーグ(NFL)は3年目、メジャーリーグも19年目。日本は大正11年。私はこの時代のアメリカの方が好きです。
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